ビジネス開発や起業ワークシップに参加したことある方にはお馴染みのフレームワークにビジネスモデルキャンバスというものがあります(*1)。これは事業に関連する9事象を平面に配置し俯瞰しやすくしたものです。シリコンバレーのVCの部屋にはこれがホワイトボードに沢山はってあると聞いたことがあります。

今回はこのビジネスモデルキャンバスのいわばデータビジネス版というものを考えてみましたのでその一部をご紹介したいと思います。β版ですので今後予告なく改良することがあるてんご留意ください。

(*1)オリジナル版はここです https://www.researchgate.net/figure/The-Business-Model-Canvas-Osterwalder-Pigneur-2010_fig1_316970707

データビジネスモデルキャンバス

本家を踏襲し9次元を平面に配置します。またおおまかに左右に分ける事ができ左がコスト(というからバリューチェーンともいえる)、右がその事業の収益構造と考える事ができます。

(Osterwalder 2010*2 を元に改良)
(*2)https://www.researchgate.net/figure/The-Business-Model-Canvas-Osterwalder-Pigneur-2010_fig1_316970707

右側 収益構造

主に価値を創造する収益構造を決定する4つの事象を記述します。それらは不確実性を伴う意思決定をデータを用いた予測により精緻化し価値を創造するキーとなるものです。

意思決定主体

不確実に事象に挑むのは誰なのか、すなわち誰の意思決定なのかです。例えば融資であるならば貸主であり、インターネット広告の表示であれば表示するメディアです。

意思決定のタイミング

どのタイミングで意思決定を行うかです。例えば融資であるならば融資申込があったタイミングです。またインターネット広告ならばメディアにユーザが訪問したタイミングです。

予測・識別・分類すること

不確実なことはなんでしょうか?その不確実性より意思決定は必ず大小問わずリスクを取ります。適切にリスクを取るためにそれらを予測します。ここではその予測対象を記述します。

融資であるならば貸した顧客が返してくれるか、またはその程度はどのくらいかを予測したいです。また広告ならばクリック率やコンバージョン率などを予測したいです。

価値

融資であるならば限られた資産の運用先として、より優良な顧客へ貸付を行う事ができます。インターネット広告ならばPVの単価をより上げることができます。

収益構造

収益構造は上記を支配する方程式です。我々はデータ語るビジネスを行うので必ず式に落とせないと意味がありません。

では前回記事おさらいになりますが、融資の場合ですと、
融資収益:=(貸付金利-調達金利-貸倒率)*融資残高
インターネット広告広告の場合は
収益:=imp数*ctr*cvr*LTV-imp数*(imp単価)です。

左側 コスト構造

右側で記述した収益を実現するために必要なデータとその予測モデル、運用体制を記述します。

データ

使用データがここに入ります。教師データが必要なのかそうでないのか、また入手経路ごとに自社データ、公開データ、他社データがあります。入手容易な順から記述すると見やすくなります。(教師データの重要性については前回の記事教師データの重要性をご参照ください)

  • 自社データ : 融資ならば顧客の申込データや、過去の類似顧客の取引データなど。広告であればメディアのトラッキングデータのようなものです。
  • 公開データ:政府統計データや気象データなど。
  • 他社データ:3rdパーティと呼ばれるデータ。近年では個人情報保護法の影響で利用が難しくなってきている。

モデリング

使用するモデル、及びその精度記述します。数パーセントの精度差がビジネスインパクトをどれくらいもつのかを検討しモデルを選定します。特に画像解析などはディープラーニングの発展著しく、モデル選定が直接競争力につながる可能性があります。

運用

事業はスポットではないため、これを維持していく必要がります。そのために運用体制が必要です。運用はスコアリング→意思決定に使用→モニタリングのサイクルを定期的に行います。そのために(内部/外注区分問わず)想定する体制を定めます。

コスト構造

データの購入コスト+モデル構築人月+オペレーションコストです。
固定費はモデル構築人月、変動費はデータの購入(買い切り出ない場合)とオペレーションコストです。より細分化するとオペレーションコストは「人件費」「クラウドストレージ」に分けられます。

コスト構造をご覧いただくと分かるのですが、データの購入、モデル構築、オペレーション、クラウドストレージはそれぞれデータエクスチェンジャー事業者、モデラー事業者、アウトソーシング事業者、クラウドストレージ事業者に対応しています。数字を確認しないで述べるのもあれですが、肌感で後者すなわちアウトソーシング事業者とクラウドストレージ事業者の2つが昨今のデジタルトランスフォーメーションやDXといわれるマーケットの中で大きい割合を占めると思います。これは前者2つに対して企業がわかりやすいところから手を付けているとも見えます。

地に足のついた事業立案のために

コスト構造でも述べましたが、昨今データ活用にかじを切る企業の多くがクラウドストレージの導入から入ります。別にこれは結構なことなのですが、明確なビジネスモデルのイメージもなしに導入してもデータバリューチェーンを構築することはできません。その結果適当に理系出身という理由であつめられたオペレータと整理されていないテーブルが散見するクラウドだけが残ってしまうという企業も見受けられます。そうはならないためには明確にデータビジネスの企画を立案することが肝要です。